研究開発部 調理開発課 藤本正考
Q.藤本さんの所属は「調理開発課」とのことですが、どんな業務を担当されていますか?
惣菜パンやサンドイッチなどのフィリング(具材)や、クリスマスなどに販売するデリカテッセンに関して、タカキベーカリーでは1995年ぐらいから自家製での開発と調理を行っています。私たちの部署は、そのフィリングやメニューの開発と、製造工場への橋渡しを行っています。販売先によって担当が分かれておりまして、私の担当は、スーパーさんや飲食チェーン店さん向けのフィリングの開発を主体としており、今年からオンラインショップ向けの商品の開発も担当しております。
Q.オンラインショップでは「デリパン」の開発を担当されていますね。
そうですね、「シェフのデリパンセット」のポークリエットサンド、クロックムッシュサンド、海老のタルティーヌ、チキンとトマトのタルティーヌは私が担当しました。
Q.オンラインショップは冷凍パンですが、それ以外のパンと比較して、違う部分はありますか?
常温で日持ちをさせなければならない製品の場合、品質保持のために付け足すものがありますが、それにより味が変わる場合があるので、素材や調味料の配分を変えて調整を行っています。冷凍パンは冷凍してそのまま配送するため、余計なものを使用せず、できるだけシンプルな配合で、素材が持っている風味を生かした製品を開発できるのが利点ですね。一方で、オンラインショップの商品はフィリングや素材にこだわっている分、工場のライン内に調理工程を組み込む必要があり、現在は工場と一緒になって、安定した品質の製品づくりを目指しています。
Q.今回の「夏のごちそうパンセット」では、スパイシーキーマカレーサンドを担当されたそうですね。開発の苦労などをお聞かせください。
トマトや茄子といった夏野菜とひき肉に、自社農園産ぶどう100%から醸造した赤ワインを加えて手作業でじっくりと炒めることで、さっぱりとした口当たりに仕上げています。常温で販売するパンの場合、フィリングをやわらかくすると外に流れてしまう可能性がありますが、冷凍パンだからこそ、キーマカレーらしい、最適な粘度を実現しています。苦労したのは、スパイスの香りを引き出すこと。1日10回近い試作を毎日のように繰り返しながら、調理工程の最後にスパイスを炒めずに加えることで、カレーのさわやかさを解凍しても楽しんでいただけるように調整しました。解凍した後、オーブントースターで少し加熱して、さくっとした風味を味わっていただきたいと思います。
Q.今後はどんな製品の開発を目指していますか?
通販向けの商品は、パンが本当に好きな方にご好評をいただいており、より自由度が高く、さまざまなジャンルの料理を盛り込んだ調理パンの開発が可能になると思っています。工場のラインに調理工程を組み込むことで苦労はしていますが、生産現場の皆さんも前向きに新しいチャレンジに取り組んでくださっており、タカキベーカリーとして、これまでにはないタイプの製品も生み出していける可能性が広がっていると思います。